- 2012.04.10 : ACCEPT / Stalingrad
- 2012.08.08 : AGE OF ARTEMIS / Overcoming Limits
- 2012.08.22 : ANDRE MATOS / The Turn of the Lights
- 2012.04.27 : AT VANCE / Facing Your Enemy
- 2012.10.02 : AXEWOUND / Vultures
- 2012.01.24 : BLESSED BY A BROKEN HEART / Feel the Power
- 2012.06.05 : CIRCUS MAXIMUS / Nine
- 2012.10.30 : CRADLE OF FILTH / Manticore & Other Horrors
- 2012.05.04 : DAWN OF DESTINY / Praying to the World
- 2012.04.17 : DRAGONFORCE / The Power Within
- 2012.03.21 : DYNAZTY / Sultans of Sin
- 2012.08.18 : ECLIPSE / Bleed & Scream
- 2012.08.24 : ENSIFERUM / Unsung Heroes
- 2012.05.22 : FIREWIND / Few Against Many
- 2012.02.27 : FREEDOM CALL / Land of the Crimson Dawn
- 2012.10.10 : GALNERYUS / Angel of Salvation
- 2012.09.10 : GOTTHARD / Firebirth
- 2012.03.26 : H.E.A.T / Address the Nation
- 2012.03.09 : HELP! FOR JAPAN / Help!
- 2012.08.18 : HESS (Harry Hess) / Living in Yesterday
- 2012.02.29 : HUMAN TEMPLE / Halfway to Heartache
- 2012.06.19 : IHSAHN / Eremita
- 2012.05.23 : JADED HEART / Common Destiny
- 2012.04.09 : JEFF LOOMIS / Plains of Oblivion
- 2012.03.26 : JEFF SCOTT SOTO / Damage Control
- 2012.11.05 : JIMI JAMISON / Never Too Late
- 2012.10.29 : KAMELOT / Silverthorn
- 2012.06.20 : KIKO LOUREIRO / Sounds of Innocence
- 2012.10.13 : KISS / Monster
- 2012.03.26 : KISSIN’ DYNAMITE / Money, Sex & Power
- 2012.10.29 : KOTIPELTO & LIIMATAINEN / Blackoustic
- 2012.02.13 : LAST AUTUMN’S DREAM / Nine Lives
- 2012.03.07 : LAVETT / Find Your Purpose
- 2012.01.18 : LIV MOON / Symphonic Moon
- 2012.09.26 : LIV MOON / The End of the Beginning
- 2012.08.27 : LOVERBOY / Rock ‘N’ Roll Revival
- 2012.08.20 : LUCA TURILLI’S RHAPSODY / Ascending to Infinity
- 2012.10.29 : MANOWAR / The Lord of Steel
- 2012.01.21 : NIGHTWISH / Imaginaerum
- 2012.10.09 : OBSESSION / Order of Chaos
- 2012.04.10 : PRETTY MAIDS / It Comes Alive ~Made in Switzerland
- 2012.09.24 : PRIDE OF LIONS / Immortal
- 2012.01.30 : PRIMAL FEAR / Unbreakable
- 2012.02.27 : RAGE / 21
- 2012.11.27 : SECRET SPHERE / A Portrait of a Dying Heart
- 2012.05.22 : SLASH / Apocalyptic Love
- 2012.08.31 : SOUND STORM / Immortalia
- 2012.02.13 : STEELWING / Zone of Alienation
- 2012.10.23 : STONE SOUR / House of Gold & Bones Part 1
- 2012.05.12 : STORM CORROSION / Storm Corrosion
- 2012.07.30 : STRIKER / Armed to the Teeth
- 2012.12.15 : STURM UND DRANG / Graduation Day
- 2012.10.22 : TEN / Heresy and Creed
- 2012.10.19 : THERION / Les Fleurs Du Mal
- 2012.11.17 : TRICK OR TREAT / Rabbits’ Hill Pt. 1
- 2012.01.25 : UNISONIC / Ignition [EP]
- 2012.03.30 : UNISONIC / Unisonic
- 2012.02.14 : VAN HALEN / A Different Kind of Truth
- 2012.09.17 : VISION DIVINE / Destination Set to Nowhere
- 2012.10.31 : WINTERSUN / Time I
Release : 2012
ACCEPT / Stalingrad
Release : 2012
Label : Nuclear Blast
完全復活を果たした ACCEPT の 13th アルバム。
勇壮なメロディが疾走するオープニングに相応しい佳曲 #1. Hung, Drawn and Quartered,重戦車の如くのバッキングの中、野太いコーラスが響く ACCEPT らしい #2. Stalingrad,怒涛の如くに疾走し金属的ハイトーンで音の壁を切り裂く #3. Hellfire,図太いメタル・サウンドの中に哀愁のメロディが沁みわたる #5. Shadow Soldiers,ライブで盛り上がりそうな #6. Revolution,シンプルな構成ながらギターソロで哀愁の風を吹かせる #7. Against the World,80’s なリフが重厚さを纏って行進する #8. Twist of Fate,ダイナミックかつメロディックに疾走する #9. The Quick and the Dead,ボトムを効かせたリフで押しまり、ラストの1分半で泣きのエンディングを演出する #10. The Gallary 。
前作は再結成の気負いのためか力みすぎていた感があったが、今作はその力みが消え、いい意味でリラックスしたパワフルかつ柔軟なパワー・メタルとなっている。前作もそれなりに良かったけど、それをはるかに超えてきたのは流石。捨て曲もないし、哀愁メロも大幅復活。言うことないわ。2012年を代表する素晴らしい正統派メタル・アルバムだね。
評価:91
AGE OF ARTEMIS / Overcoming Limits
Release : 2012
Label : King
ブラジル産メロディック・パワー・メタル・バンド、AGE OF ARTEMIS の 1st アルバム。プロデュースは Edu Falaschi (Vo/ALMAH,ex-ANGRA) 。
大仰なオーケストレーションと哀愁のピアノが紡ぐインスト #1. What Lies Behind,クサメロをまき散らしながら劇的に疾走する ANGRA 直系の #2. Echoes Within,緊張感のあるヴァース、ブリッジから流れるように劇メロを畳みかける展開が美味しい #3. Mystery,いかにも ALMAH がやりそうなバラード #4. Take Me Home,クラシカルなバックコーラスと女性シンガーが雰囲気十分な #7. One Last Cry,静と動を分けた9分半の大曲 #9. God, Kinds and Fools,Carry On とか Nova Era を手本にしたのが見え見えな #10. Till the End,歌詞に Ronnie James Dio に関係する曲名がふんだんに使われたボートラ #11. R.J.P 。
6人目のメンバーと言ってもいいくらい Edu Falaschi が関わっているようで、全てにおいて ANGRA っぽい。シンガーの Alírio Netto は Russel Alle (SYMPHONY X)n と Edu と足して2で割ったような歌唱だし、ギターソロなんて “Kiko Loureiro が僕のギターヒーローです” って言ってるような音遣い。音が凄く良いのも Edu 効果か…。
本家よりもプログレ味は薄くストレートなパワー・メタルなので、Rebirth 辺りの ANGRA が好きな人には堪らないアルバムだね。いやぁホント、ブラジル恐るべし、だわ。
評価:84
ANDRE MATOS / The Turn of the Lights
Release : 2012
Label : Marquee/Avalon
Andre Matos の 3rd アルバム。通常盤を購入し、ボートラは itunes で入手。
SYNFONIA でシンプルなメロディック・パワー・メタルをやった反動か、パワー・メタルではあるがどこか落ち着いた雰囲気のある作風となっている。勿論どの曲も優れたメロディだと思うし、プログレッシヴ寄りの展開が多いのも悪くはない。シンフォニックで静と動の展開美が秀逸な #2. Course of Life,1st に収録されても違和感のなさそうな彼らしい #3. The Turn of the Lights,7色の展開を聴かせる #10. Light-Years,ピアノとオーケストレーションでシンプルに歌われる #4. Gaza、#11. Sometimes などはアルバムのハイライトとして申し分ない。
ただ、残念ながらどの曲も決め手に欠け、メロディック・パワー・メタルの醍醐味が感じられるのはボーナストラックの #12. Wings of Reality (ANGRA Cover) だけ。この手のジャンルのお約束的なキメをあえて外してるんじゃないかと思えるほど。まぁ、それを分かっての Wings of Reality と At Least a Chance なのかもしれないけど…。
ちなみに、Spacial Edition のボートラ4曲はハードコアなマトス・ファン以外にはアルバムの煮え切らなさを加速させるだけなような気がする。まぁ、もし来日するようなことがあれば「氷雨」は1コーラスくらい聴きいてみたい(笑)
評価:68
AT VANCE / Facing Your Enemy
Release : 2012
Label : Afm
Olaf Lenk 率いる AT VANCE の 9th アルバム。
もはやマシな曲が #11. Fame and Fortune くらいしかない…。キメのメロディだったり、ソロの一部だったりで輝くものはあるんだけど、それが曲になるとその輝きも全く見えなくなっていまうという…。ドラムが打ち込みなのも残念。
それに、もうメロディックでも(たまにクラシカルなパートもあるけど、)ネオ=クラシカルでもない気がする。どこか EVIL MASQUERADE と同じような変化をしてるような…。
「シンガーのせいか MASTERPLAN っぽく聴こえる」なんて書いたら Rick Altzi (Vo) さんホントに MASTERPLAN 行っちゃったね…。
評価:15
AXEWOUND / Vultures
Release : 2012
Label : Search & Destroy
Matthew Tuck (Vo,Gt/BULLET FOR MY VALENTINE) と Liam Cormier (Vo/CACER BATS) が組んだブルータル・メタル・バンド、AXEWOUND の 1st アルバム。
モダンなリフの中でメロディアスなソロを奏でる Synyster Gates(Gt/AVENGED SEVENFOLD) が印象的な #1. Vultures,METALLICA 風のリフや SLIPKNOT 風のリフで攻め立てる #2. Post Apocalyptic Party,Matt のクリーン Vo が目立つ #4. Cold,アルバム中最も BULLET FOR MY VALENTINE っぽい #6. Exochrist,ゴシック・メタル風の #7. Collide,キャッチーなリフと流れるようなリズムが素敵な #8. Destroy,ブルータルに疾走しつつクラシカルなアルペジオでもキメる #10. Church Nothing 。
音はメタル・コア寄りの DESTRUCTION に時折 BULLET FOR MY VALENTINE って感じだね。どの曲も地味だが、それぞれ耳を引くフレーズが盛り込まれてて、尚且つコンパクトにまとまってて聴きやすい。そして何より、ドラムがカッコ良過ぎ。プロダクション的なものもあるだろうけど、主役?の二人を完全に喰ってるね。メカニカルなんだけど、パワフルで豪快。2012年の Drumer of the Year は Jason Bowld さんに変えないと…。
#4. Cold と #6. Exochrist は Matt の Vo が目立つキャッチーな曲で、PV にもなってるけど、この2曲はアルバムの中では浮いている方なので注意かも…。
評価:75
BLESSED BY A BROKEN HEART / Feel the Power
Release : 2012
Label : Tooth & Nail Records
カナダ産グラムメタル?・バンド BLESSED BY A BROKEN HEART の 3rd アルバム。
前作のムビョバディーこと Move Your Body のような衝撃的な曲こそないものの、She Wolf 路線をさらに突き詰めた、いい意味でのグラム・ポップ・メタルへと進化している。さらに、作曲能力も開花したようで、捨て曲らしい曲が全く見つからない。特にアルバム前半は怒濤の勢いで良曲を連発したかと思えば、#6. Holdin’ Back for Nothin’ でトドメを刺しに来ると言う、まさにキラーな構成…。さらに #7. I’ve Got You は映画のエンデイングにも使えそうな哀愁のバラード…。後半1曲目の #8. Rockin’ All Night はこれまたいい感じのロックンロールだし、その後も前半に匹敵する良曲が並ぶ。
「ハデにヲーヲー・コーラス入れてピロピロすりゃいいってもんじゃないぞ」なんて思ったりもするが、ここまで強力なアルバムだとそんな金太郎雨的な側面は殆ど気にならなくなるね。
評価:90
CIRCUS MAXIMUS / Nine
Release : 2012
Label : Frontiers
ノルウェー産プログレ・ハード、CIRCUS MAXIMUS の 3rd アルバム。
前作にあったようなハードな面が弱まり、より最近の DREAM THEATER に近づいた印象。
コードの選択から曲調、メロディに至るまで I&W ぽっさがモロに滲み出てる感じがするんだけど、アルバム全体だと Octavarium に近い落ち着いた感じにまとまってる。前作の名曲 Abyss やメロハー・ファンの心を鷲掴みにした Arrival Of Love みたいな強力無比なキラーチューンはないかな…。あえて言うなら先行シングルになったスローでシンプルな #5. Reach Within がそれに当たるかもしれない。
落ち着いた、と言うよりは味わい深くなった感じか。…とは言え、捨て曲らしい曲はないし、前作が気に入った人なら間違いなくこのアルバムもいけるだろうな。
評価:85
CRADLE OF FILTH / Manticore & Other Horrors
Release : 2012
Label : Nuclear Blast
CRADLE OF FILTH の 10th アルバム。
いかにもホラー映画で使われそうなインスト #1. The Unveiling of O,緊張感のあるストリングスとトレモノ・リフが強烈な #2. The Abhorrent,メロディックなリフで疾走する #3. For Your Vulgar Delectation,IRON MAIDEN みたいなツインリード・パートが美味しい #5. Manticore,メロデス・ブラック・ドゥームの3パートを使い分ける #7. Huge Onyx Wings Behind Despair,正統派メタルのようなリフとメロディックなギターメロが堪らない #8. Pallid Reflection,メロディックなリフが牽引するメロデス風の #10. Succumb to This,スラッシュ色が強く、厚いコーラスが印象的な #11. Nightmares of an Ether Drinker,どのRPGのラストダンジョンですか? と聴きたくなるような展開の #12. Death, The Great Adventure,ドラマチックでクラシカルなアウトロ #13. Sinfonia 。
ここ数作の “整合性の取れていたサウンド” から “生々しさを強調したサウンド” に変化。ライブを意識したような音作りだが、オーケストラ・アルバム “Midnight in the Labyrinth” を出した影響(反動)だろうが、これも悪くはない。ただ、前作が良すぎたのと、良くあるブラック・メタルなリフが増えたことで、彼ららしさが薄くなったような…。
この手のエクストリームなバンドって何故かトリオに落ち着くのが多いのは何故なんだろうね…。
評価:64
DAWN OF DESTINY / Praying to the World
Release : 2012
Label : Phonotraxx
シンガーが Tanja Maul から Jeanette Scherff に変わった DAWN OF DESTINY の 4th アルバム。
グロウルと新シンガーの対比が楽しめるキャッチーな #1. My Life Lies In Ruins,メロディアスで彼ららしい #3. Miracles と、序盤のこの2曲(おまけで4曲目まで)はそれなりに聴けるんだけど、この後が続かず “同じようなメロディ” “同じような展開” のオンパレード。これといった耳に残るメロディがあるわけでもなく、華麗なソロがあるわけでもない。そんな状態にも関わらず、Jeanette (Vo) の裏でとにかくしつこくグロウルが聴こえたり男声コーラスが聴こえたりするのが邪魔でしかたない…。せめて前作のように Ian Parry (Vo/ELEGY) に歌わせ・・・・・・てもダメかもな。
可憐な声質の Tanja から “フツー声” の Jeanette に変わったってだけでもガックリ来てるのに、(どちらかと言えば、というか絶対的に邪魔な)男声クリーン Vo とグロウルの比率が増えちゃうというマイナス要素増大でさらにガックリ。枚数を重ねるたびにメロディの質が落ちているのも残念。
男声、女声、グロウルって組み合わせだと、AMARANTHE みたいなのを目指してたのかもな。
評価:34
DRAGONFORCE / The Power Within
Release : 2012
Label : Roadrunner
新シンガーに Marc Hudson を迎えた DRAGONFORCE の 5th アルバム。
Marc の突き抜けるハイトーン・シャウトで幕を開け、龍力印の唄メロを聴かせる #1. Holding On,もはや BPM への挑戦 #2. Fallen World,ミッドテンポの #3. Cry Thunder,テンポチェンジを上手く使った #5. Wings of Liberty,DRAGONFORCE とは思えないアッポテンポで爽やかメロの #6. Seasons,恥ずかしい程のクサメロをまき散らしながら疾走し、テンポを落としたシャレたソロで魅了する #8. Die by the Sword,疾走ポップメタル #9. Last Man Stands,Seasons のアコースティック・バージョンの #10 。こっちのがいい…。
今までの曲を無視したような長いソロを廃止し、コンパクトにまとめたのが功を奏したのか今までと比べてかなり聴きやすい。曲調は紛れもなく DDRAGONFORCE 節なんだが、ミッドテンポの曲を挟んだり、テンポチェンジを頻繁に使ったりして差別化を図っている。中でも Seasons のアコースティック・バージョンは非常に秀逸だ。
新シンガーの Marc “まーくん” Hudson だけど、前任者と比べて音域は広いわハイトーンは伸びるわ、声質も違和感なく、いい人材見つけてきたなって感じだ。
評価:72
DYNAZTY / Sultans of Sin
Release : 2012
Label : Marquee/Avalon
スウェーデン産ハードロック・バンド DYNAZTY の 3rd アルバム。
キャッチーなメロディと共に爽快にドライブする #1. Come Alive,80’s アリーナ・ロック・タイプの #2. Raise Your Hands, THE POODLES 風のシンプルな曲調の中に哀愁を封じ込めた佳曲 #3. Land of Broken Dreams,パワフルな唄メロが印象的な #6. Love Junkie,どこか NOCTURNAL RITES っぽさを感じさせる #7. The One to Blame,哀愁のパワーバラード #8. Back Again 。
若手 80’s 回帰型ハードロック・バンドの中では H.E.A.T や KISSIN’ DYNAMITE と同列とも言えそうな一歩抜きんでた感じか…。Vo の声に微かに Ronnie James Dio 風味を感じさせるところや、この手のバンドにしてはギターソロが想像以上にテクニカルなのがいいね。
評価:73
ECLIPSE / Bleed & Scream
Release : 2012
Label : Frontiers
Erik Martensson 率いる ECLIPSE の 4th アルバム。
バンド・リーダーである Erik Martensson が Frontiers Records の幾つかのプロジェクトでメイン・ソングライターとして良曲を量産していて、その課外活動でアイディアを出し尽していないかと危惧していたが、そんな心配は必要なかった模様。
キャッチーでオープニングに相応しい #1. Wake Me Up,哀愁の民謡調メロディで攻める #4. Battlegrounds,Yngwie へのオマージュも聴ける疾走曲 #8. Take Back The Fear,FAIR WARNING を彷彿させるバラード #10. About To Break などの佳曲を筆頭に他の曲も水準以上を維持している。ただ、これといったキラー・チューンがないので、少し地味な印象になってしまうのが残念なところだ。
評価:79
ENSIFERUM / Unsung Heroes
Release : 2012
Label : Spinefarm
ENSIFERUM の 5th アルバム。
民謡調メロディのインスト #1. Symbols,大仰なシンフォ・アレンジと暑苦しいサビの3連曲 #2. In My Sword I Trust,フォーキッシュなメロディで押してくる #4. Burning Leaves,スラッシーに疾走する #6. Retribution Shall Be Mine,分厚いコーラスが歌い上げるサビがインパクト大な #8. Pohjola,プログレッシヴ(KANSAS 風)な展開から疾走したりオペラ風になってみたりする17分の大曲 #10. Passion Proof Power 。
前作がヴァイキング・メタルというよりもシンフォニック・フォーク・メタルだったのに対し、今回は牧歌的なメロディとオペラチックさを強調したアルバム。個人的には激しく疾走するヴァイキング・メタルの中に静寂の民謡調アコースティック・パートが入ってくるという “いつもの感じ” が1曲は欲しいと感じるんだけど、そういうのは飽きてしまったのか? それともネタ切れなのか…。確かに ENSIFERUM らしさは感じるんだけど、なんかちょっと迷走してるような気も…。
評価:54
FIREWIND / Few Against Many
Release : 2012
Label : Firewind Ltd
GUS G (Gt/OZZY OSBOURNE) よりもライブでギターとキーボードを兼任する Bob Katsionis (Key,Gt) の方が目立つ FIREWIND の 7th アルバム。
冴えない唄メロの代わりにギターソロが唄う #1. Wall of Sound,アコースティックなバッキングでの哀愁のソロが素晴らしい #3. Few Against Many,チェロに APOCALYPTICA を招いたダーク・バラード #7. Edge of a Dream,キャッチーでメロディックに疾走する、アルバムでも浮いた #8. Destiny…。
OZZY’s Band に参加した影響か、どこかモダンな作風に。前作のメロディックさはどこへ行ったのかってくらいに唄メロが貧弱。その代わりにギターソロのテンションは異常に高い…。誰が唄メロ書いてるかは分からないけど、これは流石にマズいんじゃないか?
なんて言ってたら Apollo Papathanasio (Vo) が脱退。
評価:34
FREEDOM CALL / Land of the Crimson Dawn
Release : 2012
Label : Steamhammer
Dan Zimmermann が脱退した FREEDOM CALL の 7th アルバム。
ヒロイックなメロディと共に疾走する #1. Age of the Phoenix,十八番のヲーヲーコーラスが耳に残る #2. Rockstars,EUROPE / Final Countdown のイントロを遥かに超えたクサメロイントロと、そのクサさをパワフルに彩るギャロップビートが印象的な #5. Back into the Land of Light,彼ら流 MTV ハードロック #7. Hero on Video,まるで初期の自分たちへのオマージュにしか聴こえない #8. Valley of Kingdom,パクパイプで民謡調の雰囲気を持たせたポップメタル #14. Power & Glory 。
Dan Zimmermann の脱退による不安要素は皆無。いつも通りの FREEDOM CALL だ。Dan の後任も Klaus Sperling (Dr/ex-PRIMAL FEAR) という事で技術的な問題もなし。前作はコンセプト・アルバムによる影響かいつものはっちゃけた明るさが不足していたが、まるで初期のような明るいメロとヲーヲー・クワイアが復活している。
前作のレビューでも書いたけど、この手の音楽性のバンドが減ってきている中で頑張ってる彼らには称賛の意を伝えたいくらいなんだけど、もう少し曲に説得力が欲しいというのが現実かな。
評価:51
GALNERYUS / Angel of Salvation
Release : 2012
Label : VAP
J-METAL の至宝 GALNERYUS の 8th アルバム。
しつこく長いインスト #1. Reach to the Sky,小野正利加入後初の Flag 曲 #2. The Promised Flag,クッサーイ唄メロとモダンな展開の対比が面白い #5. Stand Up for the Right,なんかもうアニソン街道まっしぐらな #6. Hunting for Your Dream,イントロのクサいテーマ・メロディが頭にこびり付いて離れない #7. Lament,#9 の昭和歌謡みたいなメロディを踏襲してしっとりと聴かせる極上のインスト #10. Longing 。
凄くテクニカルな事は理解できる。けどそれ以上に何が耳に残るかと言うと、何も…。隅々までギッシリと詰め込んで煮込んで煮込んで、伸びきって膨張した麺、出尽くして濃くなりすぎた出汁、煮詰まりすぎて溶けた具材・・・そんなラーメンのようなアルバムだ。いい状態で水を切っておけばコシのあるいい麺になったのに…。
#9. Angel of Salvation みたいな大曲を書く時、どれだけキツくて、同時にどれだけ楽しいのかが分かる。そして、曲が完成した時の達成感がどれだけ大きいかも…。ただ、確実に言えるのはこれは曲が求めた長さではないということ。Syu (Gt) がクドいほどひっぱる展開が好きなのは分かるけどね。この曲は8分くらい(もしくは11分)のところで切れば良かった。さらに、その後のバック・コーラスが Akane Liv (Vo/LIV MOON) である必要性、ないよね?
このアルバムで一番気に入った曲は #10. Longing だ。どの曲よりも説得力があるよ。Syu さん、泣きのギター・インスト・アルバム作ってくれないかな…。
評価:47
GOTTHARD / Firebirth
Release : 2012
Label : Nuclear Blast
不慮の事故により他界した Steve Lee の後任に Nic Maeder を迎えた GOTTHARD の 10th アルバム。
ブルージーかつキャッチーな #1.Starlight,北米的メロディの #2. Give Me Real,シンガロングを誘う哀愁のバラード #3. Remenber It’s Me,NICKELBACK 風のバラード #6. Tell Me,勢いのあるリフで押すアップテンポな #12.I Can,Steve Lee に捧げた泣けるバラード #13. Where You Are,むしろこっちのアレンジの方が曲に合ってる気がする #14. Starlight (Acoustic Version) 。
Nic Maeder の声質は Steve Lee を若干ソフトにしてアクを抜いた感じで、事前情報がなければ気付かないんじゃないかと思うほど馴染んでいる。そういう意味では素晴らしい人選だと思う。曲は、Nic の個性が出た結果なのかどうかは分からないけど、前作までのメロディアス・ハードというよりもブルージーなハードロック色が強い。これはこれで悪くはないんだけど、次は Domino Effect や Need to Believe みたいなメロハー・アルバムを期待したいね。
評価:65
H.E.A.T / Address the Nation
Release : 2012
Label : Earmusic
シンガーに Swedish Idol 2009 優勝の Erik Grönwall を迎えた、メロディック・ロック・バンド H.E.A.T の 3rd アルバム。
前作は北欧バンドっぽくないアメリカンな印象があったが、今回は完璧に北欧ハードポップに仕上げてきたようで何より。
全曲素晴らしいクオリティな中、80’s 風のシンセ・サウンドが全快のキラー・チューン #2. Living on the Run,超 BON JOVI 風ハードロック #8. Heartbreaker なんかはリーダー・トラックとして十分以上の出来なんだけど、そんな中でサクソフォンが大活躍し、ひと際異彩を放つ #6. In And Out of Trouble が素晴らしい。
前作までは “何かが足りない” 感じがあったけど、雲が晴れたかのようにその感じがなくなったね。
評価:88
HELP! FOR JAPAN / Help!
Release : 2012
Label : Avenue Of Allies
ドイツ人最高のナイス・ガイである Tommy Heart 主導の東日本大震災チャリティ・プロジェクト。
曲は BEATLES / Help! で参加ミュージシャンは以下の通り
Vocal:
・Andi Deris (Helloween)
・Bernhard Weiss (Axxis)
・Bob Catley (Magnum)
・Carsten Lizard Schulz (Evidence One)
・Claus Lessmann (Bonfire)
・David Readman (Pink Cream 69)
・Marc Storace (Krokus)
・Michael Kiske (Unisonic)
・Oliver Hartmann (Hartmann)
・Ralf Scheepers (Primal Fear)
・Tobias Sammet (Edguy, Avantasia)
・Tommy Heart (Soul Doctor, Fair Warning)
・Tony Mills (TNT)
・Torstein Flakne (Stage Dolls)
Guitar:
・Leo Leoni (Guitar, Gotthard)
Guitar Solo:
・Cede Dupont (Downspirit)
・Helge Engelke (Fair Warning)
・Henny Wolter (Nitrogods)
・Kyoji Yamamoto (BowWow)
・Robert R. Rodrigo (Airless)
・Roland Grapow (Masterplan)
Bass:
・Neil Murray (ex-Whitesnake)
Keyboards & Piano:
・Don Airey (Deep Purple)
Drums:
・Hena Habegger (Gotthard)
素晴らしい曲なのは言うまでもないが、こんな形で Andi Deris と Michael Kiske の共演が(笑)そして、#3. Help! – Guitar Version の Helge の天空フレーズは納得の素晴らしさ。しかし、ここまで大胆過ぎるアレンジだと、同じ曲だとは思えないって…。
最後に、このチャリティに参加してくれたミュージシャン、エンジニアやアートワークの担当者、その他関係者全てに感謝したい。本当にありがとう。
評価:∞ (100)
HESS (Harry Hess) / Living in Yesterday
Release : 2012
Label : Frontiers
Harry Hess (Vo/HAREM SCAREM) の 2nd ソロ・アルバム。
甘美なメロディが心地よい極上のメロディアス・ハード #1. Living in Yesterday,哀愁メロが印象的な #2. Reach for You,DEF LEPPARD 風のバラード #3. It’s Over,爽快にドライヴする #6. Nothing Lasts Forever,リズミカルな3連の #9. I Don’t Wanna Want You 。
FIRST SIGNAL が Harry Hess にソレっぽい曲を歌わせるプロジェクトであったのに対し、こちらはカナリ HAREM SCAREM 寄り。捨て曲らしい曲もなく、理想的なメロハー / AOR アルバムとなっている。
評価:87
HUMAN TEMPLE / Halfway to Heartache
Release : 2012
Label : Escape
フィンランド産メロディック・メタル・バンド HUMAN TEMPLE の 3rd アルバム。
北欧らしいシンセ・ソロとキャッチーな唄メロが心地よい #1. I Will Follow,いかにも北米出身のバンドが書きそうな “爽やかな風が吹き抜けてく系” ロック・ナンバー #4. Raita 04,抒情メロとキャッチーなギターソロが素敵な #5. Almost There,超 Frontiers タイプの極上メロハー #6. Run Away,FLEEWOOD MAC のカバー #7. Little Lies,どこか BON JOVI / Always を彷彿させるバラード #11. She Talks to Angels 。
ウェットなメロディと薄めの北欧臭を漂わせた、今まであまりいなかったタイプでなかなかいい、のは間違いないんだが、惜しいのが Vo 。Timo Kotipelto (Vo/STRATOVARIUS) と D.C. Cooper (Vo/ROYAL HUNT) を足して2で割ったような声で (たまに Jorn Lande 風にもなるが)、多少の煮え切らなさを感じさせる原因になっている気がする。
評価:56
IHSAHN / Eremita
Release : 2012
Label : Candlelight
Ihsahn 先生の 4th アルバム。教え子 LEPROUS のメンバーや Devin Townsend、Jeff Loomis らがゲスト参加。
LEPROUS のシンガー Einar Solberg がハイトーンを披露するアヴァンギャルドな #1. Arrival,プログレ味な中のブラックメタル風ブラストパートが光る #2. The Paranoid,Devin Townsend も歌う、アンビエントな音像の中に詰め込んだエクストリーム具合が絶妙の #3. Introspection,Jeff Loomis の超絶テク応酬のソロが聴ける #4. The Eagle and the Snake,シンフォ・ブラック度の強い3連の #6. Something out there,ドゥームな曲調にこれでもかと絡みついてくるサックスの暗黒美が描く尋常じゃない混沌さが堪らない #7. The Grave,2012 年最大の暗黒美。後半は奥方 Ihriel の歌唱が入ることで少し PECCATUM っぽい #9. Departure,Deluxe Edition のボーナス・トラック。アルバムの雰囲気とは変わってシャレたピアノやメロウなギターソロの聴ける落ち着いた #10. Recollection 。
前作よりも OPETH っぽさが減って、よりアヴァンギャルドで深みのある Ihsahn ワールドが展開される。流石は Ihsahn って感じの素晴らしい出来ではあるんだけど、その難解さゆえに 1st や 2nd みたいに軽い気持ちで聴ける曲が少ないのが少し残念なところかな。
評価:85
JADED HEART / Common Destiny
Release : 2012
Label : Bob Media
ドイツのベテラン・メロディック・メタル・バンド JADED HEART の 10th アルバム。
メロディックなリフで押し切る #1. With You,#4. Buried Alive,ウェット感のあるメロディが美味しい #3. Into Tears,パワー・メタリックな #7. Are We Mental,シングルカットで #8. My Destiny,シンガロングを誘う #10. Life is Beautiful,Markus Großkopf (Ba/HELLOWEEN) がソロを弾く #11. Higher 。
前作で “やってしまった感” のあったネオ・クラシカルなソロはやはり封印。自分たちも気付いたのか、堅実なハード・ロック~メロディック・メタルに戻った。正直なところ、今作もいくつかのソロでやってくれる事を期待してたんだけどね。まぁ、それがなくても十分良質なアルバムなんでそれが救いか。
評価:61
JEFF LOOMIS / Plains of Oblivion
Release : 2012
Label : Century Media
Jeff Loomis (Gt/ex-NEVERMORE) の 2nd アルバム。
Jeff による、Marty へのオマージュが感じられるフレーズと、まさにその Marty がゲスト参加した #1. Mercurial,ただでさえ Neo=Classical な曲に Tony MacAlpine が参加してさらに Neo=Classical 度が高まった #2. The Ultimatum,ダークヒーロー系メインメロと Jason Becker 風ネオクラフレーズが光る #5. Requiem for the Living,Ihsahn (Vo/ex-EMPEROR) が凶悪なヴォーカルを披露し、もはや Ihsahn の曲としか思えないほど自分色に染めてしまった #7. Surrender,美しいメロディが美しい声と共に運ばれる #8. Chosen Time とまぁ、今回も弾きまくりなわけだけど…。
Jeff Loomis が超絶テクの持ち主でピロピロ・シュレッドが得意で~、なんてのはこのアルバムを手に取るような人なら判ってるわけで、勿論それを期待してるのは間違いないんだけど、Vo なしの曲がアルバムのアートワークみたいに同じような色ばかりで面白味がないんだよね。超絶テクもいいけど、食傷気味になっちゃう感じなのかな。だからなのか、Vo ありの曲は凄く良く聴こえるんだよね。
普通に Vo のいるバンドを組むか、他の多くのギタリストのソロ・アルバムみたいに、色々なタイプの曲があればね…。
評価:62
JIMI JAMISON / Never Too Late
Release : 2012
Label : Frontiers
SURVIVOR に復帰した Jimi Jamison の 4th ソロ・アルバム。
Erik Martensson (Gt/ECLIPSE) がプロデュースというだけあって、ギター・オリエンテッドで多少の北欧味を帯びたメロハーから SURVIVOR や 初期の JOURNEY を彷彿させる楽曲が並ぶ。多くの人が Jimi Jamison に期待する曲そのもので還暦を迎えたとは思えない伸び伸びとした歌唱が聴ける。
否応なしに本家 SUVIVOR を彷彿させるオープニング・チューン #1. Everybody’s Got a Broken Heart,(歌詞と曲名は狙ったとしか思えない)爽やかに疾走する #5. Street Suvivor,哀愁を大量散布するピアノ・リフから爽快にドライヴする #9. Bullet in the Gun などは強力でアルバムを引き締めている。
ただ、Jim Peterik との共作だった前作と比べると、なんかちょっと何かが足りない感じが…。
評価:73
KAMELOT / Silverthorn
Release : 2012
Label : Steamhammer
脱退した Roy Khan の後任に Tommy Karevik (Vo/SEVENTH WONDER) を迎えた KAMELOT の 10th アルバム。
ゴシック色強いインスト #1. Manus Dei,妖しげな曲調とは裏腹にキャッチーなメロディにゲスト・シンガーが花を添える #2. Sacrimony (Angel of Afterlife),ゴシカルかるモダンな #3. Ashes to Ashes,極めて SEVENTH WONDER っぽいメロディの #4. Torn,悲壮感の漂う #5. Song for Jolee,哀愁のギターソロが素敵な #6. Veritas,ウェット感全開のメロディが秀逸な #7. My Confession,子どもコーラスがいい雰囲気を出してる #8. Silverthorn,哀愁の唄メロと共に(表打ちだけど)疾走する #10. Solitaire,グレゴリア聖歌風の Pt.1,哀愁のバラードの Pt.2,ゴシック・メタルの Pt.3 に分かれる組曲 #11. Prodigal Son,アウトロ #12. Continuum 。
アルバムのコンセプトが「悲劇的な死に纏わる物語」らしく曲調はどこをとってもダーク。まぁ音的にはいつもの KAMELOT なんだけど、一番の違いは唄メロだね。それもそのはず、唄メロはほぼ Tommy Karevik が担当したようで、ここ数作欠けていたキャッチーさを SEVENTH WONDER 仕込みのメロディ・センスで見事に埋めてくれた。歌唱も Roy Khan ほどのずぶ濡れ度ではないが、声質は遠くはないため違和感は少ない。Fabio Lione (Vo/RHAPSODY OF FIRE, VISION DIVINE) をサポートにツアーしてた時は「そのまま Fabio がアルバムも歌ってくれたら…」なんて思ってたけど、いやぁ、素晴らしい人選だ。
The Black Halo 以降のアルバムはどうも納得いかなったけど、あの頃の KAMELOT が帰ってきたって感じだし、本当に見事なアルバムだ。
評価:76
KIKO LOUREIRO / Sounds of Innocence
Release : 2012
Label : Victor
Kiko Loureiro (Gt/ANGRA) の 4th ソロ・アルバム。
Kiko 印のブリッジミュートを駆使したスタッカート・リフが印象深い #2. Gray Stone Gateway,プログレッシヴなメロディと頻繁にハイ・センスの外したリズムが素晴らしい #3. Conflicted,彼らしいメロディ運びと若干ミニマルな展開が美味しい #4. Reflective,Kiko のギターよりも Virgil Donati (Dr/PLANET X) の常軌を逸した(誉めてる)フィルインが凄まじい #5. El Guajiro,変態曲(←誉めてます)のあとの耳休めに丁度いいメロディアスな #6. Ray of Life,変態リズムとジャズ・フュージョン系のメロディが絶妙な調和を生み出す #7. The Hymn,#5 と同様、もはや Kiko が脇役のようにすら感じる #9. Twisted Horizon,アルバムのラストを飾る優しい音運びの #10. A Perfect Rhyme,そして、なぜこれ(リードギターレス・バージョン)を収録したのか不思議な #11. Conflictd (Playback Version) 。
Kiko Loureiro のオリジナリティ溢れる “ブラジリアン・ジャズ・フュージョン meets メタル” なメロディは、それだけを抽出するなら複雑さやプログレッシヴさの割には比較的聴きやすく、時に心地よさすら覚えるくらいなのだが、そこに Virgil Donati の超絶変態リズムが加わることでより前衛的に聴こえ、且つ洗練された音の波となって流れてくる。そして聴くたびに新たな発見ができる。
Kiko の超絶プレイが凄いのはわかってたけど Virgil Donati の凄まじさは改めて再確認したわ。ただ、その分このアルバムの敷居も高~くなってるのは間違いないな。
評価:64
KISS / Monster
Release : 2012
Label : Universal
地獄の獣神、KISS の 20th アルバム。
KISS に求めていた音そのもの、な #1. Hell or Hallelujah,初期の雰囲気を醸し出すポップな #4. Back to the Stone Age,彼ららしいコーラスとハンドクラップが絶妙に合う #5. Shout Mercy,80’s を感じさせる #7. Eat Your Heart Out、#9. Outta This World,ロックへの愛が滲み出た #10. All for the Love of Rock & Roll 。
前作が「どこをどう取っても KISS なんだけど、どこか煮え切らない」という微妙なアルバムで、国内盤がリリースされないという状況だったが、今回は国内盤も出た模様。しかも今作は “らしさ” を保ちつつ、ちゃーんとシングル・ヒットを狙える曲が数曲あるってのが素晴らしい。
もうね、CDをセットして Play ボタンを押したら #1 のリフが聴けるってだけで十分満足。
評価:77
KISSIN’ DYNAMITE / Money, Sex & Power
Release : 2012
Label : Afm
ドイツが生んだ若きメタル野郎ども KISSIN’ DYNAMITE の 3rd アルバム。
最初に言っておくと、捨て曲なしの名盤だ。”若き” メタル野郎とは思えない極上の LA METAL… まさかこんなのがドイツから出てくるなんてな。
全曲が名曲レベルなのだが、その中でも #4. Sex Is War,#5. Club 27,#7. She’s A Killer の3曲はどれも年間ベストチューン・クラス。異色な #10. Six Feet Under でアルバムを締める構成も面白い。
曲作りは 100% バンド(+ Hertmut Krech & Mark Nissen/ELEPHANT MUSIC)で行っているようで、これだけのクオリティで外注が0というのも素晴らしい。ホント、凄いの出てきたなぁ。取りあえず、年間ベスト入りは確実って事で。
…前作も急いで入手しないとな。
評価:93
KOTIPELTO & LIIMATAINEN / Blackoustic
Release : 2012
Label : earMusic
Timo Kotipelto (Vo/STRATOVARIUS) と Jani Liimatainen (Gt/CAIN’S OFFERING, ex-SONATA ARCTICA) によるアコースティック・カバー・アルバム。
MICHAEL KISKE / Past in Different Ways みたいに、結構アレンジされてくるのかと思いきや、Timo の声と Jani のギター、コーラスだけの超シンプルな構成。期待してたのとは違うけど、こういうのもたまにはいい。
純粋に Timo Kotipelto の歌唱が好きな人には堪らないアルバムだろうね。STRATOVARIUS の曲や SONATA ARCTICA で Jani が書いた #4. My Selene が全ての肉付けを削ぎ落とした形で聴けるという意味でも興味深い。いいメロディは装飾がなくてもいいということだね。
唯一の新曲 #7. Where My Rainbow Ends はすぐにでもメロスピに変換できそうな Jani らしい綺麗なメロディの曲。CAIN’S OFFERING が完全沈黙してるだけに Jani の動向が気になるが、こういう曲を書いてるならある意味で安心。
評価:50
LAST AUTUMN’S DREAM / Nine Lives
Release : 2012
Label : GMR Music
秋冬の風物詩 LAST AUTUMN’S DREAM の 9th アルバム。
暖かみのあるメロディとハードさが混在したオープニングに相応しい #1. In a Perfect World,ウェットなメロディが胸を締め付ける #2. Nine Lives,爽やかな哀愁メロで軽快にドライヴする #5. Golden Cage,Andy Malecek の見事なエンディング・ソロが聴ける #6. All I Can Think Of,Jeff Scott Soto がゲスト参加し、どう考えても Mikael Erlandsson の存在感を薄めてる #8. The Last to Know,抜群の哀愁メロと絶妙に構築されたソロが素晴らしい #10. We Never Said Goodbye,アルバムのエンディングに相応しい優しいバラード #11. Don’t Let Love Fade Away 。
今回も抜群の安定感。ただ、気になるのはダダ濡れ哀愁ハードロック路線からハード・ポップ路線に変わってきたような…。もしかしたらまだ悲しい曲を書くのに躊躇してるのかとも考えてしまうが、胸を締め付けられるような (Going Home,Silent Dream,Jenny’s Eyes みたいな) 曲が聴きたいんだけどね…。
評価:63
LAVETT / Find Your Purpose
Release : 2012
Label : Victor
Daniel Haimen (ex-LOST HORIZON, HEED) 擁するメロディック・メタル・バンド LAVETT の 1st アルバム。
「煌びやかなシンセ・サウンドに彩られた北欧モダン・ヘヴィ・メタル」とでも言えばいいだろうか…。少なくとも “Daniel Haimen” の名前から期待するようなサウンドではない事は確かだ。
HEED に昨今の IN FLAMES で感じられる “どこかモダンな北欧さ” を加えたような音。(俺は良く知らないのでこれを書く前にちょっと聴いただけだが) DEAD BY APRIL 風。まぁ、その DEAD BY APRIL のメンバーが曲作りに参加してるようだからね…。
曲はそれなりにキャッチーで、全然ダメというわけではないが、”LOST HORIZON の Daniel Haimen” を期待してると肩すかし、どころじゃないダメージをくらうだろうな。個人的には HEED が Nothing 以外ダメって人にはお勧めできない。
Daniel さんは、メイン・バンド: LAVETT でいいとして、完全にお仕事でもプロジェクトでも何でもいいから、ロスホ・ライクなメタルを唄ってほしいよね…。(CAIN’S OFFERING の時みたいに) 上手い事日本主導でできないのかな…。
評価:41
LIV MOON / Symphonic Moon
Release : 2012
Label : Victor
LIV MOON の 3rd アルバム。
清水昭男 (Gt/ANTHEM) 作曲のメタリックで刺激的な歌詞がアレな #1. Amen!,#1 と同じく清水昭男作曲の、3拍子である事を感じさせない #2. 零の天使,明美 #3. Alchemy,クラシカルな間奏が美味しい #4. Kiss Me Kill Me,1st アルバムに入ってそうな雰囲気の #5. 氷の棺,メロディックな唄メロが素晴らしく、Neo=Classical なギターソロも印象的な #7. Black Serenade,バラード調からサビで悶絶必死の疾走パートへ変化するドラマティックな #8. 心月世,パワー・メタルチックな #9. The Last Savior,アルバムのテーマである白と黒の歌唱が生かされた #12. Masquerade 。
まず初めに、このアルバムを聴いて Symphonic だと感じられるところがどれだけあるか…。2,3曲じゃん。そして、声のトーンで白と黒を分ける発想は面白いものの、1曲まるまるだったり曲中で変わったり、判りにくい。どうせやるなら QUEEN みたいにやってくれればいいのに。
Akane Liv の七色の唄声を駆使した歌唱は相変わらず素晴らしいんだけど、全然曲が追いついてない。アルバムの統一感が皆無なのは作曲の大半を外部ライターに委託しているからだろうし、それが Victor の意向なんだろうけど、良くある J-POP のアルバムを聴いているみたいで…。特にリーダー?の西脇氏の曲は “メタルとは何ぞや” が全然判ってない感じなのが残念すぎる。音質は、やっぱり本場の人に任せた方がいいね。1st に比べたら全然マシだけど、まだまだ安っぽい感が否めない。
DVD なんか付けるよりも 1st の Double Moon と Wild Creatures の再録ボートラとかの方が嬉しいと思うんだけどね…。
評価:60
LIV MOON / The End of the Beginning
Release : 2012
Label : Victor
北欧神話をコンセプトにした LIV MOON の 4th アルバム。
シンフォニックなオーケストレーションが印象深い #2. Free your Soul,スケール感のある唄メロと北欧民謡調のアレンジが美味しい #3. Fountain of my Pleasure,Kee Marcello (Gt/ex-EUROPE) と日本人歌手にも数々の楽曲を提供している Fredrik Hult 作曲の少し浮いた #4. And Forever More,ネオ=クラシカルなアレンジとオーケストレーションはかなりいいのに、なぜか唄メロがその辺の J-POP みたいな #5. Black Fairy,ミュージカル度 100% の #6. The End of the Beginning,ネオ=クラシカルに疾走するインスト #7. Valhalla,歌詞は完全に J-POP ながら、ちゃんとツボを心得たメロディックな展開を聴かせてくれる #8. Midsummer Eve,シンプルなメロディック・メタルな #9. Hell,変拍子を多用したプログレッシヴな #10. 霧の葬送曲,北欧らしいメロディの #12. Immortals,Kiko Loureiro (Gt/ANGRA) が作曲した提供したメロスピ曲を感動的なバラードにアレンジした #13. 黄金の涙,映画のエンディングのような #14. Voyage 。
曲の半数を外部委託しているとはいえ、1年に2枚はやり過ぎな気がする。それだけ予算があるならもっと曲やサウンドに時間をかけてもっといいアルバムを作ってほしいと思う人は少なくないハズ。ドラムの音もギターの音もシンセの音も安っぽいし…。その点、海外ゲストのサウンドは良い音(というか普通の音)なのが悲しすぎる。それに、各曲のサウンドの方向性がバラバラなのもいかがなものか…。
彼らが本物のバンドではないのなんて最初から分かってるんだけどね。でも一度でいいから外も内も本当にメタル畑を理解してる人たちと “これぞ日本のシンフォニック・メタルだ” というアルバムを作ってほしいね。
評価:65
LOVERBOY / Rock ‘N’ Roll Revival
Release : 2012
Label : Frontiers
カナディアン・ロック・バンド LOVERBOY の新曲3曲を追加したリ・レコーディング・アルバム。
オールドスクールなシンセとユルい 80’s なメロディが懐古の情を満たす #1. Rock ‘n’ Roll Revival,哀愁のメロディが心に沁みる #2. No Tomorrow,アップテンポの(リアルで体験したわけじゃないけど)懐かしきあの頃のハードポップ #3. Heartbreaker 。
#4-12 は過去のヒット?曲のリ・レコーディング・バージョン。どうせリ・レコするなら映画「トップガン」でも使われた Heaven in Your Eyes もすれば良かったのに…。
評価:82
LUCA TURILLI’S RHAPSODY / Ascending to Infinity
Release : 2012
Label : Nuclear Blast
RHAPSODY OF FIRE を脱退した Luca Turilli 率いる LUCA TURILLI’S RHAPSODY の 1st アルバム。
いつものインスト #1. Quantum X,ネオ=クラシカルなイントロからクサメロや飛翔メロを立て続けに聴かせる #2. Ascending to Infinity,オペラチックなメロディで攻める #3. Dante’s Inferno,サントラ風の展開とあまりにもクサいメロディが絶妙のコンビネーションをみせる #4. Excalibur,Alessandro Conti (Vo/TRICK OR TREAT) のオペラチックな歌唱が印象的な #5. Tormento E Passione,初期 RHAPSODY を彷彿させるヒロイックなクサメロの洪水 #6. Dark Fate of Atlantis,しつこいくらいサビのクサメロを押し付けてくる(笑)#8. Crash of the Titans,ドラマチックな大曲 #9. Of Michael The Archangel And Lucifer’s Fall,アルバムの流れを崩さず始まる #10. March of Time (HELLOWEEN Cover) も見事 。
どの曲も、まるでコッテリな味噌ラーメンのように濃い内容なので、聴き終わる頃には完全にそのクサメロに慣れて毒されてしまう(笑)RHAPSODY OF FIRE からの順当進化というよりは OF FIRE がつく前の RHAPSODY に近い気がする。シンガーの Alessandro Conti さんは Fabio Lione 並みに色々な発声が出来るようで大正解の人選。
さて、Luca’s RHAPSODY がここまでクサいアルバムを作ってしまったとなると、本家 RHAPSODY OF FIRE の新作がどうなるかが気になるね…。
評価:89
MANOWAR / The Lord of Steel
Release : 2012
Label : Magic Circle Music
鋼鉄の君主 MANOWAR の 11th アルバム。
しつこいエンディングが彼ららしいシンプルなパワー・メタル #1. The Lord of Steel,シンガロングを誘う?暑苦しいサビメロが印象的な #2. Manowarriors,地味にグルーヴィーに攻める #3. Born in a Grave,盛り上がりに欠けるバラード #4. Righteous Glory,元気ないハードロック #5. Touch the Sky,盛り上がることなく淡々としている #7. Expendable,今ひとつ煮え切らないが MANOWAR らしさはある (同名映画のテーマ曲にもなってる) #8. El Gringo,どこか落ち着いててテンションが上がりきらない #9. Annihilation,暑苦しいコーラスと異常なまでにグルーヴィーな #10. Hail Kill and Die,映画のエンディングみたいな勇壮なメロディをドッシリとしたテンポで効かせる #11. The Kingdom of Steel 。
前作の、これでもかというくらいドラマチックにオーケストレーションで包まれた作風とは違い、Kings of Metal に近いシンプルな印象だが、あれ程の熱さはこのアルバムにはない。Scott Columbus が凄すぎただけにドラムが軽いのは仕方ないが、曲も音も明らかに全体的にパワー不足。原因は Metal Hammer 誌や映画のタイアップとかを狙いすぎた( Expendable は失敗?)から、と思いたい…。
評価:57
NIGHTWISH / Imaginaerum
Release : 2012
Label : Roadrunner
フィンランドが誇るシンフォニック・メタルの至宝 NIGHTWISH の 7th アルバム。
Marco がソフトに唄う #1. Taikatalvi,前作の Bye Bye Beautiful に通じるポップな唄メロの #2. Storytime,ロック・オペラ風な曲調の #3. Ghost River,パグパイプの音色でアイリッシュに攻める #5. I Want My Tears Back,シアトリカルで演劇チックな #7. Scaretale,民謡調の唄メロが印象深い #8. Turn Loose The Mermaids,ツイン・ヴォーカルでしっとりと聞かせる #10. The Crow, The Owl And The Dove,民謡調の唄メロをシンフォニックなアレンジで包んだ #11. Last Ride of the Day,壮大なシンフォ・アレンジの前半と物語を締めくくる語りの後半に分かれた #12. Song of Myself,アルバム内のメロディーに紡ぐエンドロール的アウトロ #13. Imaginaerum 。
まるで一編の映画のようなアルバム。分厚いオーケストレーションとクワイアが一層際立ち、これが本当に Heavy Metal Band のアルバムなのかと思ってしまうほどサントラ風味。まぁ、中心人物の Tuomas Holopainen(Key) が大のディズニー・マニアだそうで「そういう方向性でアルバムを作ったらこうなりました」という事なのだろう。
映画化決定らしい。
評価:74
OBSESSION / Order of Chaos
Release : 2012
Label : Sound Pollution
Michael Vescera (Vo/ANIMETAL USA,ex-LOUDNESS,ex-YNGWIE MALMSTEEN) 率いる OBSESSION の 4th アルバム。
初期 LOUDNESS みたいなバッキングが印象的な #1. Order of Chaos,いかにも 80’s な音に Vescera らしい唄メロがのる #2. Twist of the Knife,しっとりとした唄メロをパワフルに聴かせる #4. When the Smoke Clears,クラシカルなギターソロが耳を引く #7. Cold Day in Hell,地に足のついたリフが聴ける #9. Mercy Killing 。
古臭くて地味。それがこのバンドの音楽性なのは分かってるつもりだけど、唄メロは完全に守りに入った無難なメロディだし…。ANIMETAL USA で小銭稼ぎするのもいいけど、もう一回いい唄メロを書ける人と組むとかしてほしいんだけどなぁ。
評価:52
PRETTY MAIDS / It Comes Alive ~Made in Switzerland
Release : 2012
Label : Frontiers
PRETTY MAIDS のデビュー30周年記念ライブ・アルバム。
最近の曲も程よく織り交ぜながら、外せない曲はちゃんとやってるセットだね。久しぶりのライブ・アルバムだけど、Vo も演奏も十分安定してるし最新の彼らのステージを予習するだけでは勿体ないくらいのいいアルバムだ。
それにしても、新譜の Little Drops of Heaven が Back to Back より後で、以外とオーディエンスも唄ってるってのが驚きだね。日本ではなかなかこうもいかないだろうなぁ…。でもやっぱりみんなでシンガロングするのは Please Don’t Leave Me なのね…。
てか、いくら30周年記念だからって、通常の値段でDVDも付けちゃうなんて太っ腹過ぎなんじゃない? (と思ったら日本盤は値段が輸入盤の倍なのか…。) ちなみに、Frontiers の出す DVD はリージョン・フリーなのでライナーとか要らないなら輸入盤の方がお得だね。
そんなわけで、これを聴いて来日公演に備えましょう。
評価:79
PRIDE OF LIONS / Immortal
Release : 2012
Label : Frontiers
PRIDE OF LIONS の 4th アルバム。
一聴して Jim Peterik だとわかる #1. Immortal,落ち着いた曲調と二人のツイン・ボーカルが素晴らしい #2. Delusional,泡やかな風を感じるメロディが秀逸な #4. Shine On,絶妙すぎるオブリガードを隙あれば切り込んでくるギターが素晴らしい #8. Vital Signs,彼ららしさ全開の爽快で熱情的なメロディとツイン・ボーカルの対比が美味すぎる #11. Ask Me Yesterday 。
Jim Peterik と Toby Hitchcock がそれぞれに活発な課外?活動をする中、このプロジェクトが誕生した時ほどの重要性は保てていないような気がするが、ほかの作品が哀愁強めの欧州型メロハーなのに対し暖かくて爽やかな北米型のメロハーだという点で存在感は維持できている感じか。相変わらず曲の出来は高水準で捨て曲らしい曲が全く見当たらないのは流石としか言いようがない。
評価:78
PRIMAL FEAR / Unbreakable
Release : 2012
Label : Frontiers
Alex Beyrodt(Gt/SINNER,SILENT FORCE) が加入した PRIMAL FEAR の 9th アルバム。
濃密なアレンジが目立ったここ何作かのイメージを吹き飛ばすかのような初期風のパワー・メタルだ。曲もどこか初期数作のリーダートラックを彷彿させるし (例えば、#9. Marching Again は 1st の Formula One ? ) 、全体的にもスピード感が上がったような。
前作でバンド名を冠したアルバムを作り、Ralf はソロ・アルバムをリリースして、リフレッシュした感じなのかもな。まぁ、元々彼らのサウンドは安定してるので、今作も特に心配はいらない事には変わりないんだが、この変化はパワー・メタル・ファンとしては純粋に嬉しいいね。
評価:76
RAGE / 21
Release : 2012
Label : Nuclear Blast
ジャーマン・メタルの重鎮 RAGE の 21th アルバム。
今作は、ここ数枚で続いた “1作おきにオーケストラ入り組曲を収録する” のを止めるという素晴らしい決断もあってか、見事なくらいストレートなジャーマン・メタル・アルバムとなった。
ヘヴィかつパワフルな #2. Twenty One,グロウルに近いヴォーカルから、キャッチーな唄メロまで聴ける #3. Forever Dead,構築美を感じさせる3連の #5. Serial Killer,RAGE らしい唄メロの #9. Black And White,スローな #11. Eternally でアルバムを締めくくる構成も見事。
全体的に若干の唄メロの弱さを感じるものの、どの曲も総じてアグレッシヴで、RAGE らしさが溢れている。組曲は RAGE とは別でやるという決断が、いい方向に傾いたか…。ここ数作の中でもトップクラスの出来じゃないかな。
評価:71
SECRET SPHERE / A Portrait of a Dying Heart
Release : 2012
Label : Scarlet
新シンガーに Michele Luppi (Vo/KILLING TOUCH,ex-VISION DIVINE) を迎えた SECRET SPHERE の 7th アルバム。
長いインスト #1. Portrait of a Dying Heart,緩急を使い分けた展開が美味な #2. X,(イントロは長いけど)シンプルでキャッチーな3連曲 #3. Wish & Steadiness,落ち着きのあるメロディをしっかりと聴かせる #7. Lie to Me、#8. Secrets Fear,スケール感のあるパワー・バラード #10. Eternity 。
昔のようなB級っぽさはないけど、よくも悪くもイタリン “プログレ” メタル。KILLING TOUCH の時も感じたけど、意図的にメロディックな唄メロを避けてるような気がする。Michele Luppi じゃなかったら相当ヤバかったんじゃないかと思うほど…。
日本盤ボートラの Legend は Vo が Michele Luppi だったら日本盤をだね…。
評価:55
SLASH / Apocalyptic Love
Release : 2012
Label : Dik Hayd Records
専任シンガーに Myles Kennedy (Vo/ALTER BRIDGE) を迎えた SLASH の 2nd ソロ・アルバム。
どの曲も Slash らしいフレージングがつまってるし、どこか GUNS N’ ROSES / Appetite for Destruction を感じさせるようなところも多いんだけど、前作同様どこか煮え切らない。そんな中、1曲だけ強烈に異彩を放っているのが #8. Anastasia だ。平坦な唄メロとは対照的に、彼の一般的なイメージからは程遠いペダル・トーンを駆使したクラシカルなイントロに独特のネチっこいソロが聴ける。
GUNS N’ ROSES / Chinese Democracy に足りないと思った要素がギッシリと入ってるのが悲しい。
評価:40
SOUND STORM / Immortalia
Release : 2012
Label : Scarlet
イタリア産シンフォニック・パワー・メタル・バンド、SOUND STORM の 2nd アルバム。
RHAPSODY OF FIRE を彷彿させるオペラチックなインスト #1. Immortalia,エクストリームな音像の中でメロディックな唄メロが映える #2. Back to Life,ブラスト・ビートやグロウルパートを効果的に配し、ベートーヴェンの月光(第3楽章)を引用する #3. The Curse of the Moon,演劇じみた展開と分厚いコーラスワークが印象的な #4. Blood of Maiden,中毒的な唄メロの #5. Faraway,Neo=Classical なギタープレイと慟哭のピアノソロが堪らない #7. Call Me Devil,東洋系のメロディをエクストリームに聴かせる #8. Seven Veil,壮大なパワーバラード #9. Watching You Fading,アルバムの中では比較的シンプルな #10. Wrath of the Storm,エクストリームな展開をメロディックなパートで挟んだ 9分半の大曲 #11. The Portrait 。
Gt と Dr が Vo も兼任し2色のグロウルを聴かせ、Hansi Kürsch (Vo/BLIND GUARDIAN) と Daniel Heiman (Vo/LAVETT,ex-LOST HORIZON) を足して2で割ったような声の Philippe D’Orange はシアトリカルな歌唱と細めのスクリームを使いこなすという Stu Block (Vo/ICED EARTH,INTO ETERNITY) みたいな活躍。
DIVINEFIRE の上位互換みたいなサウンドで、そんな中でオペラチックなパートやピアノが効果的に使われ、まさに音の嵐。音作りやら展開やらが妙に DISARMONIA MUNDI みたいだと思ったら Ettore Rigotti (DISALMONIA MUNDI) がプロデュースだそう…。
詰め込みすぎて焦点がぼやけ気味なのが少し残念なところか…。
評価:83
STEELWING / Zone of Alienation
Release : 2012
Label : Noise Art
スウェーデン産 NWOTHM バンド、STEELWING の 2nd アルバム。
古い SF 映画のようなイントロ #1. 2097 A.D,いかにも IRON MAIDEN な #2. Solar Wind Riders,NWOBHM さ全快の疾走曲 #3. Full Speed Ahead!,ヒロイックに疾走(特攻)する #5. Tokkotai (Wind of Fury),溢れ出る MAIDEN 愛が感じられる #6. Zone of Alienation,NWOBHM のいいとこどりとしか思えない #7. The Running Man,IRON MAIDEN へのオマージュが散りばめられた10分の大曲 #9. Lunacy Rising 。
スペーシーなコンセプト・アルバムらしいが、中身は IRON MAIDEN への真っ直ぐな愛そのもの。至る所にオマージュの影がちらつく。ここまでやってくれると、もはやオリジナリティーなんてどうでもよくて「どれだけ IRON MAIDEN を取り入れながらいい曲を書けるか」に尽きると思う(笑)そういう意味ではまだまだ…。
評価:48
STONE SOUR / House of Gold & Bones Part 1
Release : 2012
Label : Roadrunner
STONE SOUR の 4th アルバムにして、2部作からなるコンセプト・アルバムの前編。
幾分ソフトになった前作と 2nd との中間くらいのサウンドで、さらにメロディアスにメタルしている。曲毎には一貫性が感じられ、そこは流石にコンセプト・アルバムだと思える堅実なつくりだ。ただ、普通のアルバムとして聴いても素晴らしい出来。曲配置のバランスも絶妙だし、どの曲を抜き出して聴いても素晴らしさは変わらない。捨て曲はないし、どの曲もそれぞれの色があって素晴らしい。”PINK FLOYD と ALICE IN CHAINS が混ざり合い、そこにヘヴィなブラストまで含まれている” という Cory の言葉には、そこまで言うかと思ったが、全くその通りだ。恐れ入ったよ。
役を演じ、語り手でもある Cory Tayler の歌唱は完ぺきに聴き手の心をつかんでくる。元々かなり上手い人だが。さらにレベル・アップした印象だ。若干まったりとした雰囲気の中でスリリングなギターを聴かせてくれる Jim Root と Josh Rand も言わずもがな素晴らしい。ベースの交代はある意味いい結果をもたらしたかもね。音量は若干抑え目だけど。
間違いなく HR/HM の歴史的コンセプト・アルバムに肩を並べるアルバムだね。当然ながら曲は良いし音質も文句なし。早くも Part 2 が待ち遠しい。
評価:95
STORM CORROSION / Storm Corrosion
Release : 2012
Label : Roadrunner
Steven Wilson (Vo,Gt,Synth/PORCUPINE TREE) と Mikael Åkerfeldt (Vo,Gt/OPETH) 両氏によるプロジェクト、STORM CORROSION の 1st アルバム。
奇妙で不安感を煽る音使いが鳥肌モノの #1. Drag Ropes,OPETH / Damnation の世界観にサイケデリックなアイディアを封じ込めたような #2. Storm Corrosion,環境音楽的な前半からほぼノイズなギターも聴ける “落ち着けない” #3. Hag,曲名通りの Happy さなんて微塵も感じない、まるで魂が浸食されていくかのような #4. Happy,冗長なストリングスでの雰囲気パートから哀愁と深淵のギターソロへいざなう #6. Ljudet Innan 。
全体的に不安感や淋しさ、虚しさを終始感じさせるサウンドで、全音符連発の雰囲気重視なパートも多く、声やギターが入ると(音の波に変化が起きたという意味で)少し安心する。明るいパートは一切ないものの、暖かみのある音色のギター・サウンドが光を灯しているようにも思える。
個人的な [正しい聴き方] は 「部屋を暗くして、音から想像できる情景を思い浮かべながら聴く」だな。
STEVEN WILSON / Grace for Drowning を主軸に OPETH / Damnation のダークさが加わった感じ。メインは完全に Steven Wilson で Mikael Åkerfeldt は乗っかった感じなのかな。当然ながら HR/HM 要素は皆無で OPETH や PORCUPINE TREE みたいなのを期待するとズッコケるどころか「何これ?」って感じになるので、Steven Wilson のソロがストライクゾーンに内にある人やブリティッシュ・プログレを通った方向けな気がする。
評価:81
STRIKER / Armed to the Teeth
Release : 2012
Label : Napalm
カナディアン NWOTHM バンド、STRIKER の 2nd アルバム。
トレモノ・リフから JUDAS PRIEST 風のコーラスまで勢いよく駆け抜ける #1. Forever,イントロでミッドテンポと思わせぶるも軽快に疾走し始める #2. Let It Burn,キャッチーなツイン・リードのメロディ・リフが印象的な #5. Fight for Your Life,クラシカルなペダル・トーンのイントロから一気に超疾走し、そのまま突っ走る #7. Wolf Gang,爆走しながらもサビでテンポを落として重厚に攻める #10. Can’t Stop the Rush 。
前作に続いてこの 2nd でもバラードなしの潔さ。1曲目から10曲目まで有無を言わさず一心不乱に疾走する。曲がコンパクトなのであっという間に聴き終わる爽快さもいい。課題は唄メロかな。
評価:67
STURM UND DRANG / Graduation Day
Release : 2012
Label : Warner
無事に高校を卒業したであろう STURM UND DRANG の 3rd アルバム。
キャッチーな哀愁メロのオープニング・チューン #1. Your Love Is For Sale,バラード調のイントロから爽やかに疾走する #2. Dark Little Angel of Mine,哀愁の唄メロが秀逸な #3. Molly the Murderer,シンプルにメロディアスに聴かせる #4. Lucky,Erik Mårtensson (Vo,Gt/ECLIPSE) と共作したパワー・メタリックな #5. Hammer to Fall,親子で共作した 80’s な #6. Goddamn Liar,テクノ風シンセを配したアリーナ・ロック #7. Fatherland,唯一シンガーのアンドレ君が一人で書いた3拍子の #8. I Hunt Myself,エレクトロニカ?風のシンセで包み込んだ 80’s HR #9. Party Like a Rockstar,疾走するギターソロが素敵な #10. Light Years Apart 。
キャッチーで 80’s 風。曲は Vo のアンドレ君とアンドレ・パパが外部ライターと協力してるという構図は変わらず。毎度のごとくクオリティは高い。クラブ・ミュージック? エレクトニカ? テクノ? エモ? よくわからないが、その当たりのジャンルで多用される打ち込みを上手くアレンジに取り入れていて、それが見事にハマっている。…とりあえず、このアルバムを気に入るかどうかはそのアレンジが許せるかどうかかもね。
しかし、Erik Mårtensson はこんなとこにも出張して、しかもその曲がアルバムのリーダー・トラックになってるってのが素晴らしいわ。
評価:79
TEN / Heresy and Creed
Release : 2012
Label : Frontiers
TEN の 10th アルバム。
曲名通り、アラビアンな印象の強いイントロからメロディアスなサビが素晴らしい #2. Arabian Nights,英国らしいメロディの #4. The Lights Go Down,Gary らしい中毒性のある唄メロの #7 Game of Hearts,渋いメロディとどこかセーブした勢いがもどかしい #10. Insatiable,これぞ Gary Hughes な英国哀愁メロ、な #12. Unbelievable 。
前作ほどのメロディアスさが感じられないのは残念。Gary らしさは感じるんだけど、それがはっきりと出てきてないようなある種の煮え切らなさがあるんだよね。
評価:59
THERION / Les Fleurs Du Mal
Release : 2012
Label : End of the Light
THERION のシャンソン・カバー・アルバム。
殆どがフランス語だし原曲も分からないけど、アルバム・タイトルの「夢見るシャンソン人形」だけは誰でも聴いたことあるはず。しかし。ここまで見事なメタル・アレンジだと原曲云々なんてどうでもよくなるね。そして、相変わらずのボーカル・マスターっぷりを遺憾無く発揮する Thomas Vikstrom は本当に流石だとした言いようがない。
やはり、ある程度聴いたことあるし耳になじむメロディだけあって #1,15. Poupée de cire, poupée the son が一番いいね。とくに Thomas も歌う #15 の方。
評価:66
TRICK OR TREAT / Rabbits’ Hill Pt. 1
Release : 2012
Label : Flying Dolphin
イタリアン・キーパー・メタル・バンド、TRICK OR TREAT の 3rd アルバム。
児童文学の物語がコンセプトらしく、馬鹿みたいに疾走したりクサメロの押し売りみたいな曲が減り、かなり真面目にコンセプト・アルバムを作ってきたな、という印象。
キーパいメロディを Andre Matos と唄う #2. Prince with a 1000 Enemies,初期の EDGUY っぽい能天気さを感じる #6. False Paradise,キャッチーな唄メロで疾走させ、Eagle Fly Free みたいなベース→ドラム→ギターの順でソロがあある #8. Rabbits’ Hill 、の3曲は “初期 HELLOWEEN フォロワー” を感じさせるものの、他の曲は取り上げたコンセプトゆえかフォーキーなパートが目立つという結果に。
前作も地味な唄メロの曲はあったけど、スピードに助けられてた。今回はそれがないぶん唄メロの弱さが目立ってしまっているような…。シンガーの Alessandro Conti さんは LUCA TURILLI’S RHAPSODY のメンバーに抜擢された事だし、存分に劇メロを学んでこっちにも生かしてほしいね。
評価:45
UNISONIC / Ignition [EP]
Release : 2012
Label : Marquee
元 HELLOWEEN,元 GOTTHARD と 現 PINK CREAM69 のメンバーらが組んだスーパー・バンド UNISONIC の 1st アルバムからの先行 EP 。
どこか Pink Bubbles Go Ape 期の HELLOWEEN を彷彿させる Mandy Meyer(Gt) 作曲のタイトル連呼タイプの疾走曲 #1. Unisonic,Kai Hansen のバック・コーラスが微笑ましい #2. My Sanctuary,来日前から My Space に Up されていたデモ #3. Souls Alive,そして、#4 こそこの EP を買う意味そのものでもある I Want Out (Live at LoudPark’11) 。
日本初の Kai と Kiske による I Want Out …。Future World から間髪いれずに I Want Out のイントロが聴こえたあの瞬間、本当に凄かった。聴く度にあの感動と興奮が甦るよ。
評価:70
UNISONIC / Unisonic
Release : 2012
Label : Ear Music
Michael Kiske 擁するハード・ロック・バンド UNISONIC の 1st アルバム。EU 盤 Limited Edition を購入し、日本盤ボートラは iTunes で入手。
メタリックでアップテンポのタイトル連呼曲 #1. Unisonic,バンド初期からデモが公開されていた Mandy Meyer 作曲の #2. Souls Alive,どこか GAMMA RAY / Heaven Can Wait を彷彿させる #3. Never Too Late,PLACE VENDOME + ASIA 風で哀愁たっぷりの #4. I’ve Tried,Kai Hansen のポップ・センスが遺憾なく発揮された #5. Never Change Me,哀愁メロと(久しぶり?)ハイトーンが光る SCORPIONS 風バラード #7. Over The Rainbow,#1 に次ぐメタリックさを持つ #9. My Sanctuary,Kiske よりも Kai のコーラスが耳に残り(笑)、ギターソロで急に GAMMA RAY になる #10. King for a Day,緩急を使い分けた展開が見事で、何故かギターソロは UFO / Light Out な #11. We Rise,いかにも彼のソロ・アルバムに入ってそうな、Kiske 作曲の #12. No One Ever Sees Me 。
これだけのメンバーが集まって、それに Kai Hansen が加わったとなれば、正直このくらいのクオリティは当然。もう少しハードな曲があっても良かったんじゃないかと思うところもあるが、それは次のアルバムで、かな。
** 日本盤のボートラ #7. The Morning After はそのまま PLACE VENDOME のアルバムに収録されていても違和感のない良質な日本人好みのメロディック・ロック。Mandy もいい曲書くね~。**
評価:86
VAN HALEN / A Different Kind of Truth
Release : 2012
Label : Interscope Records
VAN HALEN の 14年ぶり 12th アルバム。
ワウ効果が絶妙なバッキングが耳を引く疾走(というより爆走?)チューン #4. China Town,エネルギッシュに疾走し、自身のトレードマークも忘れない #7. As Is、地味さを感じないのはこの2曲くらいか…。
どの曲も VAN HALEN 兄弟の歳を考えれば信じられないくらいにエネルギッシュで、他のバンドには出せない “ロックしてる感” が感じられるんだけど、いかんせん曲が地味過ぎる。そもそも、俺自身、初期の数枚とキーボード導入以降の Jump とか Dreams とかの超グレイテストヒッツくらいしか聴いてないのでそう思うだけかもしれないけど…。
ギターソロだけはどこをどう取っても Eddie Van Halen!! って感じなんだけどね。
評価:33
VISION DIVINE / Destination Set to Nowhere
Release : 2012
Label : Earmusic
VISION DIVINE の 7th アルバム。
SF風のインスト #1. S’ I Fosse Foco,プログレ・ハードっぽい #2. The Dream Maker,北欧メタルっぽいシンセを纏いながらアップテンポでドライヴする #3. Beyond The Sun and Far Away,初期を彷彿させるメロディの #5. Mermaids from Their Moons、#6. The Lighthouse,Fabio のイケメン過ぎるグロウルが聴ける #10. Here We Die,SF?コンセプトを締めくくるバラード #11. Destination Set to Nowhere 。
Fabio が復帰した前作でも感じたけど Fabio + Olaf Thorsen だと 1st~2nd に凄く近い方向性になるんだな。まぁ、あそこまで疾走してはいないけど、メロディの方向性が全然変わってないので、これが (Fabio が歌っていたと仮定した場合の) 3rd アルバムの次のアルバムとしてリリースされてたとしても違和感ないかも。
さて、このアルバムの最大の特典と言えば、ボーナス・ディスクだ。日本盤はどうだかは知らないけど、EarMusic から出てる Limited Edition には過去の曲のリ・レコーディング・ベスト的な音源が付いてくる。1st、2nd の曲はさらに磨きがかかり、3rd はそもそも Fabio が歌うハズだった曲だし見事にマッチ。Luppi 期の曲は、オリジナルで感じられた爽やかさが勇壮に変化。…アルバム本編よりボーナス・ディスクの方が重要って人も少なくない気がする。
(評価はボーナス・ディスクの内容は含まず)
評価:69
WINTERSUN / Time I
Release : 2012
Label : Nuclear Blast
Jari Mäenpää (Vo,Gt/ex-ENSIFERUM) 率いる WINTERSUN の 2nd アルバム。
まるで CHTHONIC みたいなインスト #1. When Time Fades Away,13分半の大曲。#1 の中華メロ引き継いだ I. Rain of Stars, テクノ系シンセ音でキラキラ具合を演出し、クリーン寄りの声で唄い上げる II. Surround by Darkness, アコースティック・パートの III. Journey Inside a Dream, 装飾過多なヴァイキング・メタル IV. Sons of Winter and Stars の4編に分かれた組曲 #2. Sons of Winter and Stars,大仰なオーケストレーションを纏って牧歌的メロディを奏でる #3. Land of Snow and Sorrow,中華的なメロディを豪華絢爛なシンフォアレンジで包み込むドラマチックな #5. Time 。
トータルの長さに対する文句は他多くのサイトが書いてるだろうからいいとして、凄まじいアルバムだ。とりあえず、音の詰め込み率がハンパじゃない。一体何トラック使ってるのだろうか。オーケストレーションはリズム・ギターをかき消すくらい分厚く、相当慎重にミックスしたのが伺える。まぁ、どう考えてもやり過ぎでしょ。
曲はもはや 1st とはケタ違いの出来。1st の方向性をよりシンフォニックにエピックに突き詰めた最終形といった印象。根元の音楽性はそう変わってないので全くの別モノでもないが、装飾が尋常じゃないので別モノに聴こえる。個人的には前作みたいなネオ=クラシカルなギターが殆どないのが残念なところ。というかギターソロすら…。
不完全燃焼感はあるけど、それは Time II で一気に消し去ってくれると信じたい。
評価:46